ブラジル乙組第12節の隠れたパターン

サッカーの静かな混沌
乙組はトップリーグへの道ではなく、一発勝負が命運を分ける圧力鍋だ。1971年創設以来、強靭さと下克上の物語を生み出してきたが、今シーズンはさらに進化した。まさに統計学の実験室である。
第12節は30試合が2週間にわたり行われ、結果はどれも「なじみある」ようで「奇妙」だった。誰もが同じ試合を見ていたのに、その真実だけは違っていた。
スコアボードに潜む影
ウルタ・レドンダ対アヴァイの一戦(6月18日深夜):1–1。紙上では引き分けだが、アヴァイは64%のボール支配率と3つの高確率チャンス(xG: 0.8)、5本のシュートオンターゲットを記録したにもかかわらず勝利できなかった。
一方で相手チームは今季平均6本のシュートしか打っておらず、それでも直近3試合で2得点している。
シュート質と決定率の回帰分析を行ったところ相関は弱かった。しかしプレイヤー疲労指数(スプリント回数+出場時間)を加えると全てがつながった。
ポイントは、「前節からの負担が高いチーム」ほど、xGが0.5以上あっても得点できなかったことだ。
理性と感情の狭間
そして最も興味深いのはノヴァ・イグアチュFC対クリシウマ戦(6月27日未明)。両チームとも前々日から連戦で疲れ果てていた。
私の分析ダッシュボードでは普通に見える。しかし私はこれを『戦術的エントロピー』と呼ぶ。疲れ切った二軍が均衡状態に陥り、「互角」という状況を作り出したのだ——実力差があるのに、「疲労」によってエッジが消えたのである。
その後、サンパウロ勢アメリカ・ミネイロがアトレチコ・ミネイロに4–0で惨敗(試合#39)。これは不調ではない。システム崩壊だった:
- ハーフタイムまで平均パス数<25回,
- ゴールキック後のトランジションプレーなし,
- フルバック一人で8km以上走行し回復時間ゼロ。
こうした状態では35分以降のカウンター攻撃に対応できなかっただけに過ぎない。
プレディクションとは予想ではなく仮説だ
次なる注目対戦:コーリチバ対アマゾナスFC(試合#65)。両者とも中位圏だが傾向は対照的:
- コーリチバ:ホームで直近5試合中4勝,
- アマゾナスFC:直近2試合で7失点,
- 一方でxG差はほぼ同等(+0.4)。
どの方向へ?論理的には「ホーム優位」だが、疲労状態次第だ。 予測モデルは結果を予言しない——むしろ不確実性の度合いを可視化するのだ。実際に得点と期待値(xG)との乖離が大きいほど、「偶然」による影響が増えている証拠である。ファンこそ準備が必要だ。
見えない指標こそ大事だ
すべてのファンにとってドラマがあるだろう。しかし本当の洞察とは「静かな瞬間」にある:プレッシャー下でのミスタックル、終盤でのスタミナ低下、スプリント後の回復時間などである。 次の引き分けや驚きの大敗を見たとき、「誰があいした?」ではなく「何を見逃していた?」と考えよう。「勝利」だけじゃない。「判断の中にあるもの」こそスポーツの美しさなのだ。
ShadowScout

バルサの圧倒的支配
